医療創生大学いわきキャンパス

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理学療法学科の特徴

理学療法学科 学びのポイント

INDEX

“科学”と“臨床”の架け橋を築く、
未来のリーダー臨床科学者(クリニシャン・サイエンティスト)を養成

近年、科学研究は飛躍的な進展を遂げています。しかし、それに対し、国際的に医療機関や福祉施設における臨床の改善が遅れているという課題が浮き彫りになっています。この課題の背景には、科学によって明らかとなったことを臨床に取り入れることのできる、“科学”と“臨床”の間に橋を架ける専門家の不足が挙げられます。

理学療法学科では、この課題を解決できる人材が、臨床現場で求められ、将来は地域における理学療法士のリーダーとなると考えています。そこで、本学科では、“科学と臨床の架け橋となるクリニシャン・サイエンティスト”を育成するため、独自のカリキュラムを策定しました。本学科のカリキュラムでは、1年次から“科学”、“臨床”の双方を体系的に学びます。学生が最新の科学的知見を臨床に応用するために必要な実践的なスキルを身につけることを目指しています。

1年次から4年次へ、体系的に“科学”に触れる・理解する

臨床に最新の科学的知見を活かすには、研究論文を発見し、その内容を理解する必要があります。そこで、理学療法学科では1年次から段階的に、このスキルを身につけるためのカリキュラムを用意しています。最初は多くの学生が「自分が論文を読むなんて…」と思っています。しかし、少しずつ研究に触れることで、卒業時には実際の臨床現場で必要な情報を自ら見つけ、解釈し、その内容を基に理学療法を実践することができるようになります。目指すは、“科学”を“臨床”に応用することで、目の前にいらっしゃる対象者のQOLを向上させることのできる理学療法士です。

全学年の学生が集まって行われる4年生の卒業研究の成果発表会

1年次から参加する豊富な演習で“臨床”に必要な技術を身につける

理学療法学科では、1年次より“科学”に加えて“臨床”を学びます。通常、理学療法士の養成課程では、1年次は基本的な知識を学び、2年次以降に専門的な技術を身につける演習が行われます。しかし、“科学”と“臨床”を同時に、そして並行して学修することで、学生は双方の関係性を捉えやすくなります。そのため、本学科では1年次から基礎だけでなく、専門的な技術を修得する演習も行います。具体的には、1年次で実際の臨床で使われる触診や柔軟性を測定する技術を学びます。2年次以降は、理学療法の検査・測定、治療について、専門領域(運動器・スポーツ理学療法学、神経理学療法学、内部障害理学療法学、小児理学療法学、地域理学療法学)毎に豊富な演習科目を展開します。授業の中では、科学的な知識を臨床にどのように応用するかを考えながら実技を行います。こうした経験を通じて、学生は科学と臨床を結びつける力を養います。

演習科目の授業での実技練習

活発な国際交流で学生の飛躍的な成長を促す

理学療法学科では活発に国際交流活動を実施し、学生の参加を積極的に促しています。それにより、国際感覚を醸成し、問題解決能力、リーダーシップ、語学力を備えた理学療法士の育成を目指します。

留学生の派遣および受け入れで国際交流の機会を提供

健康医療科学部の特色にもある通り、国際交流協定を締結した大学の教員と協力し、留学生の派遣および受け入れを進めています。令和6年度には、初めて20名の学生が短期留学プログラムに参加します。また、留学生の受け入れは2019年度より行っており、本学科の学生が留学生と交流する中で大きな成長を遂げる様子が見られます。初めは留学生とのコミュニケーションが難しかった学生も、数週間後には彼らと友達になっています。また、海外から来た学生は、日本の学生と比べて授業などで積極的に発言する傾向があります。留学生が授業に積極的に参加し、教員に質問する姿などを見ることで、学生たちは大きな刺激を受け、学習に向かう姿勢に変化が見られます。留学生からの刺激を受けることで、学生たちは飛躍的に成長する機会を得ることができます。

学生と留学生との交流風景

海外の大学から客員教員を迎え、国際水準の学びを提供

本学科では、シンガポール、マレーシア、インドネシア、タイ、そしてイギリスの5カ国から客員教員を招聘しています。これらの先生方は、オンラインで短い講義を行ったり、健康医療科学部研究発表会などの学部の行事で応援メッセージを送ってくださいます。これらの機会を通じて、学生は国際水準の学びを享受すると同時に、海外の教育環境に触れることができます。

理学療法学科の短期・中期・長期目標

理学療法学科では、学生教育の目標を以下の3つのフェイズに分けて立案し、その達成に向けて取り組んでいます。
  • 短期目標:国家試験に合格する
  • 中期目標:就職先で活躍できる技術を身につける
  • 長期目標:定年まで活躍するため、生涯学習を継続する

短期目標:国家試験に合格する

理学療法学科の国家試験合格率は、令和5年度において96.2%(全国平均95.2%)です。それと同時に、本学科のストレート卒業率(留年することなく卒業をした学生の割合)は81.5%であり、これは理学療法士養成校における全国平均69.9%を大きく上回っています。本学科では、学生が留年せずに国家試験に合格できるよう、特色のある取り組みを行っています。

重要な科目で採用するモジュラーシステム

理学療法士を目指す学生にとって、解剖学、生理学、運動学は極めて重要な科目です。これらの科目を通じて、人体の構造や機能、そして運動に関する理解を深めます。解剖学と生理学は基礎医学の一環であり、運動学は理学療法士にとって不可欠な専門知識です。これらの科目は、理学療法士になるための基盤となります。そのため、これらの科目を十分に理解しておくことは、専門的な理学療法の学習において必要不可欠です。

しかしながら、これらの科目は内容が豊富で難易度も高いため、理学療法学生だけでなく、医学生や他の医療系学生も学習に苦労することがあります。そこで、本学科ではこれらの重要な科目にモジュラーシステムを導入しました。1学期を2つのモジュール(15回の授業単位)に分け、一方のモジュールでは通常の難易度で授業を行い、もう一方のモジュールでは理解が難しい学生に対して、授業方法と難易度を調整しています。このシステムにより、個々の学生が授業内容を十分に理解できるようになりました。これによって、科目の単位取得が困難で留年するリスクを軽減し、2年次以降の専門科目の学習も円滑に進めることができます。その結果、卒業までの道のりがよりスムーズになることを目指しています。

さらに、理学療法士の国家試験問題の多くはこれらの科目から出題されるため、これらの科目の理解は国家試験合格にも直結します。

独自の国家試験対策

理学療法学科では、上記の短期目標を達成するために、1年次から国家試験問題に触れる機会を作り、学生が国家試験に合格するには、どのような知識を身につける必要があるかを認識します。その後、4年次には集中的な国家試験対策を実施しています。それにより、高い国家試験合格率を達成しています。

*第1回理学療法士・作業療法士学校養成施設カリキュラム検討員会 資料

中期目標:就職先で活躍できる技術を身につける

理学療法士には、理学療法学の知識と技術が必要です。本学科のカリキュラムには、多くの演習科目があります。講義で学んだ知識を実際の演習で活用することで、知識が定着し、臨床で役立つスキルに変わります。このプロセスを通じて、学生は臨床に必要な技術を習得し、就職後に即戦力として活躍できる能力を身につけることができます。

早期より開始する最新機器を用いた効果的な演習科目

入学直後の学生は理学療法の専門的な技術を身につけることに強い関心を持っています。1年次の演習科目では、学生が自らの理学療法士への夢や情熱を発揮し、意欲的に学ぶことができます。その結果、効果的に学習を進めることが期待できます。

また、本学科では、最新の機器を演習科目で使用することで、臨床に必要な技術を効果的に身につける授業を実施しています。超音波画像診断装置や三次元動作解析装置、等速性筋力測定装置、重心動揺計、呼吸音聴診シミュレータなどを活用することで、学生は実践的な技術をテクノロジーを活かして身につけることができます。

長期目標:定年まで活躍するため、生涯学習を継続する

 理学療法学科では、学生には資格取得、就職に加えて、長く理学療法士として活躍し、将来のキャリアを成功させ、豊かな人生を送っていただきたいと考えています。そのためには、生涯にわたって学習を継続することで、時代の変化に合わせて知識や技術をアップデートしていく必要があります。本学科では、生涯学習を継続して行うための力を学生時代に養い、その後、学習を継続したいと考えた卒業生が学ぶことのできる環境を整備しています。

教育、学習について学ぶ科目で生涯学習に必要な力を養う

 本学科のカリキュラムには、教育や学習について学ぶ「臨床教育と管理」、「理学療法教育学と生涯学習」、「理学療法教育学」という科目があります。これらの科目では、生涯学習の必要性を理解するために専門職に求められる心構えを改めて認識することからはじまり、効果的な教育・学習に必要な理論や技術を学びます。生涯学習に対する意識を高め、それを実践できる能力を身につけます。

大学院教育で卒業後の生涯学習をサポート

本学は大学院を併設しており、理学療法学科の教員の多くが大学院に所属しています。大学院では、臨床現場での経験から生じる疑問を解決するための研究方法を学びます。また、卒業後に深く専門知識を学びたいという希望を持つ学生にとって、大学院は理学療法の知識を深める場として重要な存在です。卒業生が、学びの場を必要とする際には、いつでも大学で学ぶことができる環境が整っています。

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