33
小さな命と向き合って
健康医療科学部 理学療法学科 神子嶋 誠 講師 WEB
私は、発達に遅れや困難さを抱えるお子さんのための理学療法(小児理学療法)を中心に取り組んできました。
今回は、新生児集中治療室(NICU)における理学療法について少しだけ紹介させていただきます。
NICUは、早期産、極端に体重が少ない状態で生まれてくる低出生体重児、病気や障害を抱えて生まれてくる赤ちゃんが入院しています。
NICUに入院している赤ちゃんの多くが、自分の力でミルクが飲めない、呼吸が弱い、痰がつまっても自分で排出することができない、仰向け(背臥位)のような安静姿勢ですら落ち着いて保っていられない、部屋の照明やモニターなどの音といった環境刺激にとても過敏で強いストレスを被ってしまうなどの問題を抱えており、これらは生命の維持だけでなく長期的にはその子の発達にも影響します。
私達は、このような赤ちゃんに対し、痰の排出を助けること、ミルクを飲む練習、姿勢を安定させて安心して休めるようにする、環境からの過剰な刺激を調整する、発達の評価などを行っています。
NICUでの理学療法は、小さな生命と直接向き合う仕事で、とても緊張します。しかし、多くの赤ちゃんが、数ヶ月の入院期間を通して、少しずつ成長・発達し、ご両親の笑顔と一緒に自宅に退院していく姿を見ると、人の生きる力、成長する力の強さを実感でき、とてもうれしくなります。
2022.09.30