心理学に興味はあるけれど、「具体的にどんな資格が取れるの?」という疑問を持っている高校生は多いのではないでしょうか。心理学部で取得できる資格は多岐にわたりますが、そのなかでも特に人気のある資格を5つ紹介します。
それぞれの資格が将来どのようなキャリアに役立つのかをわかりやすく解説しますので、進路を検討している高校生だけでなく、その保護者や担任の先生にも参考にしていただけると幸いです。
心理学部で取得できる資格①:公認心理師

公認心理師は、心理職として初めて国家資格に認定された資格です。医療・福祉・教育・産業・司法など幅広い分野で活躍することができ、心のケアを必要とする人々に心理的な支援を行います。現在では心理職のなかで最も代表的な資格に位置づけられているため、将来カウンセリングやメンタルケアの分野で働きたい方は、できるだけ取得したい資格といえるでしょう。
- 医療機関(病院・クリニック)
- 福祉施設(児童福祉施設など)
- 教育機関(小学校~大学)
- 民間企業
- 司法・矯正施設(家庭裁判所・少年院など)
公認心理師になるためには、一定の教育課程を修了し、国家試験に合格する必要があります。国家試験の受験資格を得るためのプロセスは、以下の2パターン。どちらかを選びましょう。
- 「公認心理師養成カリキュラム」に対応している大学で4年間、かつ大学院で2年間、指定されたカリキュラムを修了する。
- 「公認心理師養成カリキュラム」に対応している大学で4年間の課程を修了後、指定機関で2年以上の実務経験を積む。
なお、公認心理師についてもっと詳しく知りたいという方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
心理学部で取得できる資格②:臨床心理士

臨床心理士は、公認心理師と並び、心理職のなかで最も有名な資格のひとつです。公認心理師とは異なり国家資格ではありませんが、日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間資格として40年近い歴史を有する価値の高い資格に位置づけられています。業務内容についても、現状では公認心理師と大きな違いはありません。
- 医療機関(病院・クリニック)
- 福祉施設(児童福祉施設など)
- 教育機関(小学校~大学)
- 民間企業
- 司法・矯正施設(家庭裁判所・少年院など)
臨床心理士になるためには、大学院への進学が必須となります。「臨床心理士養成カリキュラム」に対応している大学院で臨床心理学を学び、修士課程を修了することで、臨床心理士の受験資格が得られます。
なお、公認心理師と臨床心理士の違いについて、もっと詳しく知りたいという方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
心理学部で取得できる資格③:産業カウンセラー

産業カウンセラーは、日本産業カウンセラー協会が認定する民間資格です。“働く人”に焦点を当てたメンタルヘルスの専門家として、従業員のメンタルヘルス管理や職場における人間関係の改善、ストレス対策のアドバイスなどを行い、職場全体の健康をサポートする役割を担います。
- 民間企業の人事・労務部門
- その他労働者のいる場所全般
産業カウンセラーになるためには、以下いずれかをクリアすると、受験資格が得られます。
- 2022年3月以降に4年制大学で、日本産業カウンセラー協会が指定した科目の単位を取得し、卒業する。
- 心理学、心理学隣接諸科学、人間科学、人間関係学のいずれかの名称を冠する大学院研究科において、指定科目を修了する。
- 日本産業カウンセラー協会が提供する「養成講座」を修了する。(講座を修了すれば、大学や大学院に進学しなくても、産業カウンセラーの受験資格が得られます)
心理学部で取得できる資格④:学校心理士

学校心理士は、学校心理士認定運営機構が認定する民間資格です。学校現場での心理的支援を専門とする資格で、子どもたちが抱える学業の問題や友人関係、家庭環境における悩みなどに対して、心理的なサポートを行います。昨今では発達障がいや学習障がいを持つ子どもたちに対する心理的支援が増えており、教育現場では学校心理士の需要が高まっています。
ちなみに、「スクールカウンセラー」と混同してしまう方が少なくないですが、「学校心理士」は資格名であるのに対し、「スクールカウンセラー」は職種名になります。使い方として、「学校心理士の資格を持ち、スクールカウンセラーとして働いている」…といったイメージになります。
- 小学校、中学校、高等学校
- 特別支援学校
以下の条件を満たした方のみ、学校心理士の審査を受けることができます。
- 学校心理学関連大学院修了者および修了見込者
- 公認心理師関連大学院修了者および修了見込者
- 教職大学院修了者および修了見込者
- 教員の経験を有する者(教育職員免許状もしくは保育士資格を有する者)
- 相談機関等の専門職従事者
- 大学・短期大学等の教員
- 学校管理職または教育行政職の従事者
- 公認心理師資格を有する者
- 海外での資格取得者
- 准学校心理士資格を有する者
高校生の皆さんの場合、①または②のルートがオーソドックスといえるでしょう。要するに、心理学を学べる大学院まで進学し、学校心理学に関する科目の単位修得が必要になります。
心理学部で取得できる資格⑤:福祉心理士

福祉心理士は、日本福祉心理学会が認定する民間資格です。福祉施設で心理的支援を行う専門職で、福祉施設に入所している高齢者・障がい者・子どもたちに対して心のケアを行い、生活の質を向上させるためのサポートをします。
- 高齢者施設
- 障がい者施設
- 児童福祉施設
認定試験はなく、日本福祉心理学会が指定するカリキュラムの単位を修得し、書類審査に合格することで資格が得られます。心理学や福祉に関する科目を専門的に学べる大学に進むことが、最初のステップといえるでしょう。
心理学部について詳しく知りたい方はこちら
いかがでしたか。心理学部で取得できる資格について、なんとなく理解いただけたのではないでしょうか。
心理学に関連する資格を取得し、将来のキャリアに役立てたいと考えている方は、まず心理学を学べる学部(心理学部や人間科学部など)を有する4年制大学の資料請求をおすすめします。どの大学も各ホームページから無料で資料を請求できますので、気軽に情報収集を始めてみましょう。
ちなみに、この記事を書いた医療創生大学にも心理学部があります。大学院も併設しており、公認心理師と臨床心理士の両方の資格取得に対応したカリキュラム体系になっていることが特徴です。資料請求は、以下よりお気軽にどうぞ。